誰だっけ?
あれ?
秘龍にこんな優しい奴いたか?
「綺都(アヤト)、駄犬と暴れ兎の手綱くらいしっかり掴んでてよ」
透夜がそう言うと
「ごめんね、どうしても行きたいって聞かなかったんだよ」
優しい口調の男は申し訳無さそうな声音でそう言った。
………綺都!?
こいつが!?
そんな中あたしは透夜の呼んだ名前に驚いていた。
綺都。
名字は壱城(イチジョウ)、壱城財閥跡取りで秘龍の副総長。
ちなみに先程の二人と透夜は秘龍の幹部だ。
壱城綺都はいつも敬語でとても冷たい男だという話だったが…。
全員話と違うじゃねぇか、なんなんだこいつら。
「透夜がそんなに怒るなんて珍しいな」
最後の一人、総長だろう男がこの状況を楽しむかのような声でそう言った。
「俺にだって都合ってもんがあるの。考えなしに動くこいつらをまとめるのが迅(ジン)の役目の筈なのに…」
その男は迅、神紫碼迅(カミシマジン)。
神紫碼神社の神主の息子。
話では冷酷な男で表情の変化が一切ないというが…。
「なんだ、女とでも遊んでたか?」
「ニヤニヤすんな、ってか寛ぐな!」
どうやらニヤニヤしながら寛ぎ始めたらしい。
…聞いていた話とまったく違う。
あとであいつシメる…。
「落ち着けって、大事な話があるから来たんだよ」
あたしが頭の中で情報源となる男をどうやってシメようか考えていると神紫碼迅がそう切り出した。
大事な話…?
また長くなりそうな…。
「今日転入してきた銀狼についてだ」
そう思っていると神紫碼迅が話を始めた。
どうやら盤条についての話らしい。

