美術室。


「遅れました!すみませんっ」


ガララッと戸を開ける。


一番に飛び出してきたのは…


歩夢だった。


そして苦しいほどに抱きつかれた。


「なーにしてたの!」


「ちょ、ちょっと苦し…」


「なーにしてたの!」


「く…空汰と話してた!」


どうしてこんな歩夢はスキンシップ多いんだ!!


苦しいよ!!


パッと離れる。


え?


「え!?どうして!?」


…は?


「え…知らないの?」


歩夢に言ってなかったけ?


そして「なんで?」「いつから!?」とか言う歩夢の質問づめを


部活の時間をたっぷり使って返事していた。


そしてあっという間に…


「やば!完全下校時刻まであと3分だし!」


穂波がそう言ってハッとした。


く、空汰が待ってる!!


勢いよく美術室を抜け出して、


校門まで走った。



香織が「ヒュー」とか言ってたのは、


見なかったことにしよう。