「だからここは―――――――移項して、」


翌日。


一時限目は数学だった。


塾で先取りしているから、ただノートをとってボーっとしていた。


「…伝えるか、伝えないか…」


頭はこの事でいっぱいだった。


伝えて振られてスッキリするのか、


想いづづけているのか。


【当たって砕けろ】。


よく言ってる人いるよね…。


私も当たって砕けた方がいいのかな…?


でも、


松村さんは愛ちゃんの元彼。


私は…愛ちゃんも大切。


どっちを選んで良いのか分からないよ…。


「よーし。じゃあ今日はここまで!木村さん、号令!」


「え!?あ、はい!起立、気を付け…礼っ」


「ありがとうございましたー」と皆が礼をし、廊下なりなんなり出ていく。


私は教室に残って絵を描いていた。


「わー上手い!」


褒めてくれたのは愛ちゃんだった。


「ありがとう~」


「どうしたらそんなに絵が描けるのー?」


「二次元オタクになったら描けるよ」


「ドヤ顔で言わないで(笑)」


良い子だな。


私なんかと…


別れてくれて嬉しいとか思った私なんかと一緒にいたら汚れちゃうよ…


愛ちゃんの心が…。


でも…


私、もしかしたら…ううん。本当に松村さんの事が好き。


だから…この気持ちは…


愛ちゃんに伝えるべき?


「…私………
…絵を描いているとすっごい楽しくてね!でも小さい頃は絵を描くの嫌いだったんだ~!」


「そうなんだ~」


…無理だよ。


お願いします、神様。


私にどうか勇気をください。