純情ラバーズ






困ったことになった。


氷野くんと帰ることだけは避けたかったんだけど……。



「もも?」


「!?」



氷野くんがこちらを振り返って「行かないの?」と言うように首をかしげる。


そこでももって呼ぶのは反則でしょ……!


自分の中で葛藤したあと、わたしは一歩を踏み出した。



「氷野くんは今年もハイクラですね!」


「んー」


「理系なんてすごいなあ。 数Ⅲもやるんですよね?」



歩きながらぺらぺら話すのはわたし。


沈黙になってほしくない。 静かになったらぜったい緊張するから。



「わたしなんて文系の普通クラスで、なんとも平凡です」