純情ラバーズ






「氷野くん、料理しないんですか?」


「…………しない」


「なんの間ですか」



今のは間が長かった。 これ、わたしでもわかったぞ。


卵を丁寧にカゴに入れて、氷野くんを見ると目を逸らされた。



「できないから、しない」


「まままま、マジですか!!!」


「……うるさい」



驚きすぎて"ま"を連発してしまった。


だって、完璧な氷野くんにできないことがあるのか!


誰にだって不得意なことはあるけど、なぜか氷野くんにはないと思ってた!



「……もう買うものないの? 帰るよ」



いつもの落ち着いた声だけど……。