ずいっと近づいてきた氷野くんに、わたしはよろりとうしろに下がる。



な、なんだなんだ。


氷野くんは急だからびっくりする。



「わたしはぶどうが好きですけど……」


「そう。 じゃあ、りんごにするか」


「えっ!?」



なんかさらっとひどい!


聞いておきながら、結局自分で決めちゃってるじゃないか!!



ちょっとむくれていると、氷野くんがふっと小さく微笑んだ。



「なにすねてんの。 わかりやすいな、あんた」


「べ、別にすねてないです!」



うわああああ、氷野くんが笑った!!


一瞬だったけど、すごくかわいかった!