ため息まじりにそう言ってから、氷野くんは「上がっていい?」と尋ねてきた。


わたしが「どうぞ」と通すと、氷野くんはさっさと中に入ってしまった。



変な氷野くん……。


と思ったけど、カレの横顔がほんのり赤いことに気づいて、照れてるんだと察した。


照れ屋なところ、かわいいなぁ。



「氷野くん、勉強進んでる?」


「おー、最近真琴につき合わされることもなくてのんびりしてるよ」



勉強のこと聞いたのに、のんびりって……って思ったけど、わたしはすぐに別のことに意識が向いた。



真琴ちゃんは、もう氷野くんといっしょにいないのか……。


正直ホッとしてしまうけど、真琴ちゃんにとって氷野くんはいとこで、頼りにしてる存在だから。