ごしごし目をこすって、平気だよって示すために笑ってみせた。
そしたら、氷野くんはほんとかよって疑うように頬をつまんできた。
『ふは、かわいい』
『っ、な!!』
かわいい、とか、そんな言葉は照れることなく言うんだから、タチが悪い。
むくれるわたしに、氷野くんは優しい顔のまま、ふっと微笑んだ。
『もも。 俺と、つき合ってください』
そんな、昨日の出来事は一生忘れることができないと思う。
まだ残暑の厳しい、9月の午後。
周りの景色は、涙でにじんでいた。
それでも、大好きな人が自分を好きでいてくれる世界はキラキラしていて、この上ない幸せだと思ったんだ。



