「もも」
「っ、はい!」
ぼんやりと見ていたネクタイあたりから、あわてて氷野くんの顔に視線を向ける。
すると、氷野くんはやわらかな、まるで、すぐに溶けてしまう砂糖みたいに甘い笑みを浮かべた。
「シフト終わったら、屋上来て」
氷野くんに見とれていると、カレはわたしとの距離をつめていて、そのセリフは耳もとでささやかれた。
ち、近っ……!?
思わず耳を押さえたわたしに、氷野くんはまた笑って、頭をぽんぽんとなでた。
「ちょっとー、おふたりさんこそ、よそでやってくれません?」
「…………」
「無視かよ!」



