そんなことを思いながら、茜さんと話していたら、離れたところから「茜さーん!」と明るい声が聞こえてきた。
ふたりでそちらを見ると、茶髪をふわふわ揺らしながらかけてくる男の子がひとり。
あ、そういうことか。
茜さんが八高祭に来てくれた最大の理由がわかって、にんまりしてしまう。
「はやかったですね、茜さん!」
「うん。 結の執事服姿、見たかったし」
「なっ、茜さん不意打ち!」
江藤くんは照れたようにそう言って、顔を自分の手のひらで隠した。
それを見て、ふふと柔らかい笑顔を見せる茜さん。
茜さんって、江藤くんのことは"結くん"って呼んでたはずじゃ……。
呼び方が変わってることは、ふたりはつき合ってるのかな?