純情ラバーズ






「は、入れるの?」


「入れるよ。 俺の穴場」



氷野くんはやわらかく笑って、わたしの手を引く。


腕じゃなくて、手。



手汗かいてないかとか、氷野くんの手って大きいなとか、そんなことを思っては恥ずかしくなる。


でもね、恥ずかしいけど、うれしいんだ。


気を引きしめないと、頬がゆるんでしまうの。



正面で向き合うと、つないでいた手は自然と離れてしまった。


名残惜しい気持ちのわたしを置いて、氷野くんはうすく唇を開いた。



「……で、その格好どうしたの?」



お昼の時間を過ぎて、静かな屋上には誰もいなかった。


文化祭の喧騒が、遠くに感じる。



なんて、ぼんやり考えていたら、氷野くんの言葉に反応が遅れた。