先約。


氷野くんは、そう言ってくれたんだ。



射るような視線を向けられ、たどたどしく口を開く。



「……うん。 わたしが氷野くんを誘いました」


「ふうん、意外と奥手じゃないんですね、ももさんって」


「お、奥手!?」



わたしの意気地なしという性格を、熟語で簡潔に表してしまった……!!


いろんな意味で真琴ちゃんこわい! 年下に思えないよ!?



「ま、本番は明日ですから。 楽しみですね」



真琴ちゃんは余裕の笑みを浮かべていて、わたしは無言でうなずくしかできない。



わたしは、告白しようって決めてるけど、真琴ちゃんはどうなんだろう?