でも、ひとつだけウソをついた。 それは、「忘れて」って言ったこと。 ……告白を、なかったことにしたんだ。 気持ちが伝わったのか、伝わらなかったのか、どっちにしろ。 忘れて、って、一瞬でなかったことにしてしまう言葉を口にした……。 いつか、柴くんと職員室前で会ったとき、わたしは氷野くんの隣を歩くことを恐れてウソをついて逃げたんだっけ。 そんなウソが、かわいくみえる。 どうしたらいいのかわからなくて、恋しい気持ちはつのって。 ウソをついたことは、苦しくて。 ……なにも、考えたくなくなる。