「逃げぐせついちゃった……」



ぽつりと一言だけもらすと、ありちゃんは「ん?」と首をかしげた。



明日は、1学期の終業式。


氷野くんとは、半月以上経った今も話していない。



真琴ちゃんの存在を知ったとき、氷野くんと距離をおこうと決めた。


それは、わたしの弱さのせい。



真琴ちゃんが彼女かもしれないって、確認することさえできなくて。


目も、合わせられなくて。



……好きな気持ちは、残っているのに。



「百華ってほんと、氷野くんが好きなんだね」


「えっ!?」



ありちゃん、そう返してくる!?


目を丸くしてありちゃんを見ると、ふしぎそうな顔をされた。