結局、アパートが見えるところまで走ってしまった。
わたし、運動部じゃないくせに……なんでこんなに走ったんだろ。
「ふう……」
でも、しょうがなかった。
あの場から、逃げるしかなかった。
だって今まで、氷野くんに話しかける女の子はいなくて、登下校はいつもふたりきりだった。
それが、わたしの中に余裕を生んでいたのかもしれない。
氷野くんが好きなのに、行動を起こせない子なんて、きっとたくさんいる。
わたしはお隣さんだから、そのおかげで、話せるようになっただけ。
真琴ちゃんみたいに、直球で、アピールが上手でかわいらしい、そんな女の子……。
真っ向勝負できる自信が、ない。



