わたしは、そんな暑さも吹き飛ばすような光景を目のあたりにした。
「あおくーん! 学校行こー!」
わたしと入れ違いでアパートの階段に足をかけた女の子は、氷野くんちへ向かった。
同じ八高の制服をきた、女の子。
腰くらいまでありそうな黒髪を、高い位置でポニーテールにしている。
「誰だろう……」
アパートの下から見ているわたしに気づくことなく、女の子はドアの前で氷野くんが出てくるのを待っている。
その女の子のうしろ姿だけで、楽しそうな様子が伝わってくる。
「あおくーん!? まだなのー?」
"あおくん"って親しげで、ためらいなくドアをたたく女の子。
氷野くんの、彼女……?



