恋愛初心者のわたしが、氷野くんと両思いなんて夢のまた先だ……。
「でもさー」
柴くんのゆっくりとした声。
わたしが顔を上げると、柴くんはにやりと笑った。
「あれ、ぜったい茅ヶ崎のこと気に入ってる顔」
それ、どんな顔!?
氷野くんは基本、無表情か、イジワルそうな顔のどっちかな気がするけど。
男の子ってわからん!
「茅ヶ崎さ、野球好き?」
「へっ、あー、うん! できないけど観戦は好きだよ」
急に話が変わって、あわててそう答えた。
スポーツ観戦って楽しいよね! 野球と、サッカーと、水泳と、陸上も好きだなあ。
「ふーん……じゃあ、あいつも野球しとけばよかったな〜」