「柴犬、はやくその荷物運んだら?」
「あ、あー、言われなくてもわかってるよ! つーか、柴犬やめろ!」
荷物があるせいで、柴くんは手を出せず、氷野くんは余裕たっぷりだ。
氷野くんってこう、人をいじめる、というか、からかうとき、生き生きしてるような気がする……ちょっとだけ。
「もも」
「!」
柴くんが先に教室に戻って、わたしもあとを追おうとしたとき。
ささやくように、小さな声で"もも"と、名前を呼ばれてドキッとした。
「用事は?」
「お、終わりました……」
ウソです、すみません。
きっとこんな見えすいたウソ、氷野くんにはバレバレなんだろうけど。



