「ついてない! なにもついてない!」
「そー? ならいいんだけど」
そう言って校舎内へ入っていく氷野くんにバレないよう、息をつく。
し、心臓とまるかと思った……!
これは自意識過剰ではないけど、氷野くんがわたしに顔を近づけたとき、女の子たちの小さな悲鳴が聞こえたんだよね。
靴を履き替えている今も、びしびし感じる視線。
や、やめてくれ……。
「なに靴箱に顔突っ込んでんの。 汚れるよ」
ため息混じりの氷野くんの声が聞こえて、わたしはむくりと顔を上げた。
さっき、俺の顔になんかついてる?とか、まぬけなこと言ってたけどさあ。



