その、視線を集めている張本人を見上げてみると、のんきにあくびしていた。
女の子たちからの視線がすごい……。
氷野くんに声をかけてくる女の子がいないだけに、集める視線は多い。
「はあ……」
下校だったら、部活が盛んな八高の場合、生徒はたくさんいない。
でも、登校は……思ったより注目されてて気まずい。
「ため息?」
「あ、いやっ、なんでも……」
氷野くんに聞こえるくらい、大きなため息ついちゃってたのかな。 申し訳ない。
あーもう、だめだめ! ため息ついたら、幸せ逃げるのに!
「まー、雨って気分下がるよね」