引っ越してきて不安だらけのわたしに声をかけてくれて、中学の最後の1年間が楽しかったのはありちゃんのおかげだ。


感謝感激。 ありちゃんバンザイ!



「なにひとりでボソボソと……」


「ぎゃっ! そんな不審な目を向けないでありちゃん!」



今ではこんな会話もしょっちゅうあって、ありちゃんと話すのは楽しくてさらに八高から転校したくないなって思わせる。


ひとりでじーんとしていると、ありちゃんが廊下の方に視線を向けて「あっ!」と声を上げた。


つられて廊下へ顔を向けると、ただひとりに視線を奪われた。



「氷野(ひの)くんだあ……」