そう言いながら階段のほうへ体を向けた女の人と、バチッと目が合った。
わあ、きれいな人……。
見とれて、思わず直立不動になる。
すると、女の人は品のいい笑みを浮かべて頭を軽く下げた。
「蒼のお隣さん? こんばんは」
「こ、こんばんは! もしかして氷野くんのお姉さんですか……?」
顔を見た瞬間、ピンときた。
目の形や高い鼻とか顔のパーツが似てて、なにより氷野くんと似た中性的な顔は、お姉さんだとさらにきれいに見せている。
「あら、蒼の知り合いなのね。 蒼の姉の氷野 茜(あかね)です。 弟がお世話になってます」