ドーナツを食べ終えてもガールズトークに花が咲いて、ありちゃんとバイバイしたのは19時過ぎになった。


5月だし辺りは暗くないけど、お母さんには「遅い!」って言われる時間だなぁ。


ひとり暮らしだからって、遅い時間に帰るなんてなんだか悪いことしてる気分。



「蒼ー! いるんでしょ! 開けなさい!」


「!」



階段下にいても、女の人の声が聞こえてはいたけど、いざ2階に上がると予想以上に大きな声でびっくりした。


背の高い女の人が氷野くんちのドアを何回もたたいている。



「また寝てんのかしら! ったく……」