純情ラバーズ






思わず氷野くんをガン見すると、怪訝な顔を向けられた。


すみません、自粛します。



「冷蔵庫なんもなくて、ももんちになんかないかなーって」


「なるほど……! カレーならありますけど、食べますか?」



"カレー"という単語に、氷野くんの顔が心なしかほころんだ気がした。


「カレー持ってきますね」と、ドアに手をかけたところでピタッと止まるわたし。



5月だというのに、寒気を感じる。


すっかりゴキブリのこと忘れてた……!



「どうしたの?」


「あの、氷野くんって虫平気ですか?」


「?」


「その、キッチンにゴキブリがいるんですよね……」