ドキドキとうるさい心臓を落ち着かせて、あくまで普通に返事をする。
「はい! すぐ行きます!」
意識してるのは、わたしだけなんだな。
そう思うと切なく感じたけど、今は気にしないことにして、部屋へ向かった。
「テキトーに座って」
「し、失礼します……!」
黒色のオシャレなサイドテーブルの前に腰を下ろす。
シンプルで、ちらかってない部屋。
片づいているというよりは、ものが少ないという印象を受ける。
「……なにからする?」
「はいっ!」
お茶をコトンと置きながらそう尋ねてきた氷野くんに反応して、勢いよく返事をしてしまった。