「10%はあるなら・・・・」

 彼の茶髪が太陽の光りでキラキラ光る。海の潮風と太陽で焼けた髪の色だった。

 瞳を見る勇気は流石になかったから、あたしは彼のその髪を一心に見詰めて言葉を押し出した。

「ゼロじゃないなら・・・めげません」

 驚いているのか呆れているのか、笑顔が消えた素の顔であたしを見る彼を一瞬だけ真っ直ぐに見て、あたしは頭を下げた。

 ありがとうございました!とお礼を言って、そのまま振り返って出口に向かった。

 声は、追いかけてこなかった。

 いいとも駄目とも言われなかった。それは、あたしにとっては希望だった。

 イルカプールの建物を出てキョロキョロしていると、トイレの影から雅が出てきた。

 あたしは片手を上げて微笑む。

 近づいた雅がジャンプをしてあたしの片手にハイタッチし、大きく笑った。

「よくやった、雅!さすがね~」

 あたしの褒め言葉にケラケラと笑って身をよじる。

「そやろ?芽衣ちゃんが聞きたいこと聞いたやろ?うち、ちゃんと役立った?」

「素晴らしい働きに、アイスをご馳走しよう!」

 二人で笑って売店まで走った。

 カンのいい従妹を持って、あたしは幸せだ。

 子供の無邪気さを利用して、彼から情報を引き出してくれると判っていた。