変な体勢のまま止まってしまったあたしを彼は手を引いて立ち上がらせてくれた。
そして、濡れてますから、足元には気をつけて下さいね、と言った。
あたしはハッとして、やっとお礼を告げる。
「あ、あの。ありがとうございました!」
いえ、それでは、と言って一礼する彼を見詰める。
キャップから出た茶髪の髪がキラキラと光を放った。紅潮した頬を押さえて爽やかな笑顔を瞼に焼き付けていたら、雅の大阪弁があたしの頭に突き刺さった。
「芽衣ちゃああああああーん!!はよせーやあああああ!!(訳:早くしなさいよ)」
「・・・あ、はいはい」
仕方なしに雅のもとへいくあたしは、完全に夢の中へと入ってしまってた。
―――――――会っちゃった・・・・。
ドキドキとうるさい鼓動を抑えて、何とか雅の横に座る。またべらべらと雅が喋っているけど、何を言っているのかが頭に入ってこなかった。
・・・・会っちゃった・・・。格好いい人に。まさか、まさか・・・。これが俗に言う一目ぼれってやつですか!??
あたし、遂に一目ぼれ体験!?
ぶわああああ~っと体が熱くなったのが判った。
・・・ちょっとおおお・・・格好良かった、今の人!!これは、頑張るときがきたんだ!話しかけないと駄目だ!ここで働いているんだろうし――――
ショーが始まるまでそんな状態で、始まった途端に、今度はその彼をイルカプールの端で見つけてまた興奮した。
・・・・ドルフィントレーナーさんだったんだ!!!
うっとりと彼を見詰める。爽やかな風の中、歓声が上がるイルカショーの中、あたしは一人だけ恋愛モード炸裂で座っていた。
・・・見つけてしまった。新しい恋を。



