「……ねぇ葉月」

「葉月って呼ぶな。」
ほら、葉月って呼ぶと怒る。

でも横顔は本当に女の子みたいに綺麗で、
女の子ウケは凄く良いんだろうな、と思う。

「……次さ、何だっけ?」

「………生物?面倒くさー……」

ごろん、と後ろに倒れるようにねっころがる葉月。

私も横たわる。
彼氏とかでは無いのだけど、
いつのまにか一緒にいる。

高校生にもなって、彼氏でもない男と寝るって、

一体何なんだ、あたし。

「……サボろうか。」

葉月が小声で提案する。

「ん……そうだね。」

その提案に乗ったあたしは、
また目を閉じて睡魔と闘っていた。




案の定、睡魔との死闘に敗れたあたしと葉月は、
予定なら2時間目の生物をサボるだけだったのに、
寝過ごして3時間目の数学までサボってしまった。


「何してたの?2人っきりで、誰もいない屋上で……」

葉月と教室に戻ると、男子がニヤニヤしながら聞きに来た。
「うるさいよ、舜。」

軽くコイツをあしらって、席に着く。

伊東舜。………とかいう名前だった気がする。

コイツも黙ってればモテるだろうに、
クラスに1人はいるお調子者キャラで、
舜の色恋沙汰は一度も聞いた事が無い。

「さ、昼飯昼飯っ!」

そう言って葉月と舜が財布片手に食堂へ向かう。

「あ、待ってよ、あたしも行く!」

あたしと葉月と舜、いつもの固定メンバー。
大体はこの3人で行動する。

あたしはあまり同性の友達は作らない。


というか、作れない。