左手で口元を隠すように笑う彼。一方私は何故彼が笑っているのかが理解できていない。

すると笑いを隠している彼は、不意に反対の手をこちらに伸ばしてきた。

なんだろう、と思った時、彼の右手は私の左頬に触れた。


「小山のそんな不服そうな顔、初めて見た。」

「えっ。」

……触れられている、というよりは、頬の肉を摘ままれている、のほうが正しい気がしてきた。今さらだけど自分の丸顔が恥ずかしい。



「小山はハムスターって感じだよな。」

なんのことだろう、と一瞬考え、すぐに思い出した。きっと私が今日彼をゴールデンレトリバーに例えた話の続きなのだ。

……というか。


「……ハムスター……。」

「ちょこまかしてて、意外とすばしっこい。……ほらこことか。」

そういって私の頬をプニプニと摘まんで遊ぶ。

ようはほっぺの肉が多いということだろうか。実際他のところもプニプニなんだけど。

……伊東くん、全然嬉しくないよ。