理想の都世知歩さんは、





ここに住んで3日目の、朝。


元々荷物は極力減らしていたからか、もう殆どの荷解きも終わった部屋をぼーっと出る。

朝が強い方ではないので、お仕事が始まったら早起きも頑張らなきゃ。



私は、今日から隣部屋に住む都世知歩さんのことなんかすっかり忘れて洗面台を目指してバスルームのドアを開けた。


「あれ…電気…つけっぱなし」


昨夜は確かご飯を平らげた後、私がシャワー室を使うと同時に都世知歩さんは自室に入り、戻ってきた私が自室に入った後、隣部屋のドアが開く音を聞いた気がする。


というか、え。

シャワー出てる!?私まさか昨日から出しっ放しだったんじゃあ…!?



ヤバいと思ったら怒られる、という感情に捕われ、誰の待ったも聞かずにトイレと洗面台との間に設けられたカーテンを勢いよく捲った。




「……あ」



「……へ」




其処には色白な、引き締まった、身…、……エ?





「…。出たな変た「キャァアアーーーーーーーーッ!!?!?」





「ウルサ…裸見られたの俺なんだけど」



「は、ハダハダハ「あ、鼻血」


「…………」








前 途 多 難 。












「鼻血。止まった?」



備え付きだったダイニングテーブルに、未だ水の滴る都世知歩さんは手をついた。


「本っ当に御免なさい御免なさい御免なさい御免なさい南無阿弥陀仏」


「オイ止めろ。俺は成仏する気ない」

「…申し訳ありません」


うわああもう誰かいっそ私を殴ってくれお父さんお母さん二雲ちゃああんこの人お風呂上りで良い匂いするよ心臓痛いよタスケテ!!



顔を上げられない私に、都世知歩さんは呆れた溜め息を吐き出した。


「あのさー。あんま神経質になりすぎると疲れない?減るもんじゃないし減ったら増やせばいいし」


何言ってるのこの人。


「俺男だし。気にしませんよ」


私が気になるんですすみません。