理想の都世知歩さんは、





その日着信通知のため、ダイニングテーブルに置いたままだった写真を、数日経ってネタにしたのは都世知歩さんだった。


「なにこれ」


座って入荷商品のチェックをしていた私のテーブルに、帰宅するなり手をついた彼から僅かな香水の香りがして顔を上げる。
嗅ぐと、やっぱりそうだ。香水が香る。

「なに?」

目が合って首を傾げる都世知歩さんは何気なく腕捲りをして、写真を手に取った。

「高校生だ」


「一か月ほど前までは高校生だったもので…」

照れくさい思いで都世知歩さんが持っている写真の裏側の白を見つめていると、顔を上げた彼が、ふと笑う。何か格好良いなあと思った。

都世知歩さんにも勿論あったであろう高校時代。

もう一度視線を落とした今も何か思い出したりしているのかな。


「衵、高校はブレザーかー」

『高校は』だなんていうから、中学がセーラーだったことを知っているのかと思った。


「中学がセーラーだったから高校生のブレザーが憧れで」


三年間着続けた制服のことを憧れと言っているのは、何だか新鮮な気持ちが思い起こされる。


都世知歩さんは「そっか」と、空いた手で私の頭を撫でた。


「でも、衵より俺の方がブレザー似合うなこれは」

顎に手を置いて頷く都世知歩さんに表情を歪ませる。彼は真顔で女子の制服の方のことを言っている。


「はい?」

「だって俺色白いし…痛っ」


私は手を伸ばして彼の脇腹を殴った。



都世知歩さんは、自信に満ちた顔で笑っていた。