理想の都世知歩さんは、





私はその後一人分の朝ご飯を作って食べて片付け、部屋へ戻って明日何着ようか考えたり、それで雑誌を引っ張り出して捲ったりしていた。
雑誌を読むのは本当楽しいから、いつも時間も場所移動も忘れてしまうのだ。

そうこうしている内にお昼はあっと言う間に過ぎ、そろそろ都世知歩さんもお腹空いて起きてくるんじゃないかと思って雑誌から顔を上げた。

部屋を出てダイニングに行っても彼の姿は見当たらない。


流石に寝すぎて夜眠れなくなっちゃいそうだとお節介をやいて、そっと開けた都世知歩さんの部屋のドア。

すると都世知歩さんは既視感のある俯せ姿で寝息を立てていて。


「とよちほさん」

声を掛ける私はベッド脇に正座をする。


「…」


考えすぎかもしれないけれど、都世知歩さんを起こすのは、何だか凄く悪いことをしているような気持ちになるから。苦手です。

綺麗なような幼いような、そういう顔をして眠っているからなのか。

ごめんねと謝りたくなってしまって。言葉にしては言わなくても疲れているんだろうな、と。


私はなるべく都世知歩さんの顔を見ないようにして、こっちに向けられた顔の前、手の甲の端っこを叩いてみる。

すると都世知歩さんはぐっと眉根を寄せ、俯せだった身体をこっちへ向けるように寝返りを打った。


んん、と唸る声。


寄せられていた眉根が解かれるとき、どうしてか。


どうしてか私は、好奇心に駆られて

「とよちほ、よいち」

と。


ちいさな声で。



「……、?」



そっと瞼を上げた都世知歩さんには、すごく凄く驚いた。