理想の都世知歩さんは、





お、起きたのか…。


タオルから覗かせた目で姿を追うと、ふわふわと都世知歩さんの匂いがする。

ああ、また寝癖ついてる。


もこもこの中で笑みを忍ばせていると、都世知歩さんがまだ眠さを引きずったまま手をタオル掛けに伸ばし、取り外して位置を下げた。

目が合った彼が、私の不思議に思った顔を見て説明を付け加える。


「あこめちいさくて取り辛そうだったから。下げた」

「!!」

カッと目を見開くのと顔を朱に染めるのは同時だった。

気遣わせた……。

そんなに小さいというわけじゃないはずなんだけど、そりゃあ、彼からしたら小さいわけだ。見上げる都世知歩さんは本当すらっとしてていいなぁ。羨ましいです。手足長い。

ジャージ姿でも、雑誌で見る俳優さんみたい。

「で、でも下げなくて大丈夫です。今のままでも取れるし、次都世知歩さん取りづらくなるから」

「120センチ?」

「…え?」


思わず耳を疑った。

彼は私の身長を測るように手の平を水平にして、頭上に浮かべている。


「そ、そんな小さく見えますか」

「…嘘だよ」

「…」

「衵が昨日『エイプリルフールは明日』って言ったんじゃん。本当は150センチくらい?」

「あ、ああ」

私の曖昧な返事を「へんなかお」と笑み返した彼に、「都世知歩さん何センチですか」と問うてみた。

脳裏に、昨日の三谷さんの言葉が浮かんだからだ。

「最後に測ったのいつかわからない、けど、2メートルくらい」

「に!?」

思わずタオルを落としそうになる私をきょとんとした顔で見てちょっとだけ微笑んで、くしゃ、と髪を撫でた都世知歩さん。

私の頭上には感嘆符の後、疑問符も浮かんでいた。


「眠いし、休みだからもう一度ねるなー」


そう続けた彼の背中を追って、そうか、エイプリルフールかということに気付いて赤面する朝だった。