未だ、云う資格はないから。
けど知っていてほしいと。
柔く微笑む。
私は、信じられないとか恐いとか、そういう感情に先立って、ただ。
都世地歩さんが、いとおしくて。
「――――でも、待って」
「え」
「私は男らしくバシッと決めたいから、兄ちゃんのところから帰って来るまで待って」
「は?男らしくって何?」
取り敢えず立ち上がる。
見上げてくる都世地歩さんの表情は、困惑に満ち溢れている。
「~~~~っ」
だから、いとおしいって。
涙が溜まりそう。
私は身を屈めて机に頬を寄せて、都世地歩さんの傷に、軽くきすをする。
「え!?」
「待ってて。もう出て行ったりしないから。約束」
「何そのお預け…」
額を押さえた都世地歩さんの耳は、紅かった。