理由とか、答えなく。
その話をしてくれた都世地歩さんが今まで、どんな環境で何を思ってきたのかはわからないけれど、少なくとも私は、今の都世地歩さんを知っている。
それだけが、宝物みたいだ。
思わずぎゅっと抱きしめた。
愛おしくて、いとおしくて。我慢できないくらい。
「……何?かわいそうになった?」
「ううん。都世地歩さん、」
都世地歩さん。
すきだよ。
大好き。
「お母さんに、会えるといいね」
「――――」
……都世地歩さんは。
私の髪の上にあった手を、自分の口元へ持っていって。
小さな息と、ほろりと涙を零した。
私は。
その下で目を閉じて、泣いていた。
心臓が近いから、都世地歩さんの心の痛みが少しだけ、流れ込んできて。
でも優しい気持ちだった。
何でそう言ったのかもし聞かれていたら、私は何て答えたかな?
