「よくもまあ3日間無視してくれたな?」
「都、世知歩さん」
翌日の夜中、ご飯を終えたあと、自室で雑誌を読んでいた私の部屋のドアを勝手に開けた都世知歩さん。
言う割には懲りてない。
デリカシーもない。
ドアを開けて一歩入ったところで仁王立ちしているけど、どうしてそんな偉そうなんですか?
「別に本気でドアに鍵取り付けたか気になったとかじゃないから」
「何のフラグですか…というかもうそれが答えですよね」
あ、都世知歩さん、また丈が足りてないジャージ履いてる。
「笑うな」
私が先の会話で笑ったと思ったらしい都世知歩さんは接近してきて、壁にクッションを挟んで寄り掛かっていた隣に、自分もそこら辺に置いてあったクッションを背にして座った。
「ドーナツ食べなさい」
語尾にキラキラの絵文字を付けるかのような言い方で、どこからかドーナツを差し出した。いつの間に持っていたんかい。
大きなチョコドーナツは、その甘い部分にくるみがふりかかっていて甘い香りが漂う。
ずい、と近付けてくるあたり何だかぎこちない。
「いりません!」
私も語尾にキラキラを付ける形で即行拒否した。
「夜に食べると肥えるから」
都世知歩さんはドーナツを持ったまま、はあ?と眉間に皺を寄せた。
貴方には解らないでしょうね!
食べたくてもぐっと我慢して次の日に回す乙女のお洒落心が。
「夜食べても昼食べても一緒だろ」
「ちがうんです」
「ふざけんな、くえ!」
「いやだ!ヤメテ!」
ぐいぐい押してくる都世知歩さんから顔を背けたが、それも虚しく結局頂くことに。
わー…おい「美味しいだろ」
「感想が被ったんですが」
白けた目でもぐもぐと口を動かすと、解っているのかいないのか、はははと軽快に笑い声を立てている。
絶対後者だ。
私たちはいまいち噛み合っていない。
