「というか怖ぇよ」
「怖いわけあるか。眼は真っ黒って言い切れない色なのが好き。形もアーモンドみたいというか僅かに垂れ目に思うというか。優しさがあって」
指で輪を作って目元に当て、ふわりと微笑む和平。
そういう意味じゃないけど楽しそうで何より。
それから何やら口元に手を立てて身を屈めている。
「あとさっきりっちゃん、職業柄って言ってたでしょ。都世地歩さんそう見えないけど運動神経抜群だし隠れ細マッチョってやつらしくて、それって萌えポイントなんだって」
「何で極秘情報みたいに言うの。…お前はこそこそと誰にあいつを薦め――」
その時、視界の端、階段もポストも越えた102号室の方から宵一の気配がして、即座にはっとした。
「シェルジャケットとか似合いそうなのになぁ、綺麗め多いよね、都世地歩さん」
もしかしなくても和平、宵一にこの話バレちゃいけないんじゃねぇの…!?
おいおいだったらまずいだろ…!
「和平、俺から話振っておいてなんだけど黙れ」
「え、どうしたの急に早口で」
「いいから黙れって!!!!」
「!?りっちゃんが言えって言ったのに!」
「だからそう言ってんだろ!?」
「た、そうだけど…っ」
