理想の都世知歩さんは、





【SIDE 貴堂 律】




平日現在、朝八時…半を回ったところ。


玄関ドアがけたたましく叩かれているような気がして目が覚めて、むくりと身体を起こして玄関へ這うように向かう。

外から思い切り話し声が聞こえてきた。


「ハッ、都世地歩さん!折角だからりっちゃん起きたらサプライズやろうよ!寝起きドッキリってやつだよ!」


「え、何それ」

「寝起きドッキリ知らないの!?」



「……」

何かやられても面倒なので、会話の終着点を待たずドアを開けた。


「「アッ」」


何故か構えさせられた様子の宵一――――と、同じく構える和平衵。


「え」


ぎょっとした。


寝起きの呆けた頭で何となく受け入れつつあったけど、此処に和平衵がいること自体おかしいはず。


髪も、短くなっていた。



「り、りっちゃん…お久し振り!」


あは、あははとおかしな笑い声を発している。確かにそれは和平衵だった。


「は……?」


眉根を寄せ表情を歪めると、「ひょわっ」と顔を両腕で覆って顔を背けられた。


宵一にすぐ「律ー。女子の前でズボンに手ぇ突っ込むのだーめ」と言われ、「ああ」と返す。

「ゴ「朝弱めだから!な!?」


うん。

こういう宵一のフォローには毎回助けられている。


「ほら、衵」

宵一は和平衵を前に押し出した。