「人前に出ることに興味も力もないし」と彼は続けた。
矢張り勿体ないとは思ったけど。
同時に、一本で買われるなら凄く運動神経良いんだろうなとか感心していた。
というか寧ろスーツアクターだけなら余計に父を知っている確率が高くなるよなぁ…。
リオンマンは第一話から最終話直前までずっと『リオンマン』だった。
当時は当然誰がリオンマンなのかと他出演者の中から当てに予想が立つほどだったが、最終話の最後。
本の数秒だけリオンマンの素顔が明かされた。
それは今でも伝説になっている。
リオンマンは、誰が予想した『リオンマン』でもなかったのだ。
父親だから不思議だけど……。
「あと身内の関係で、出版社での仕事もやってます」
黙り込んだ俺に、彼は付け加えるように言った。
そこで気が付く。
とよちほくんは、俺が衵が身元の分からない人と暮らしていたことに嫌悪を抱いて調べに来たとでも思っているのだろうということが。
「最近はアクターの仕事が増えたので出版社といっても顔出しから雑用程度ですが」
「あー今日はお礼伝えたかっただけだから。別に責めたりとかそんな偉そうなことしにきたわけじゃないよ」
それで気遣ってくれたのかと思うと、責めるも何も寧ろ衵の方が面倒みてもらっていたことが分かる。
