「だ、だから……っ」



そこまで上手にやれていたのに。

昨日から、何度もシュミレーションした通りだったのに。


都世地歩さんを目にして、簡単に壊されてしまう。


だからいやだった。



「あこめ」



都世地歩さんは、何の気もなしに、私を自分の腕の中に閉じ込めてしまう。



私は、ここからどうやって出て行けばいいの?



ずるい。


ずるいよ。



「ばーか」





“理由なら、後でいくらでも聞くから。”





…ずるいよ。







こんなひと、好きにならないわけないよ。