「都世地歩さん」



帰って、上着を脱いで自分の部屋に入った都世地歩さんを追う。


彼がハンガーを手にとっている時、私はカーペットの上に正座して待つ。

目が合った彼は驚いた顔をして向かい合ってくれた。



私は、決心だけを心に持って口を開く。



ごめんね、都世地歩さん。


この決心が壊れてしまわないうちに言わないと、零れてしまうから。


急いてごめんね。




「私、ここを出て行くことになって」




そうしないと、こうして笑ってさよなら出来ないから。




「短い間だったけど、お世話になりました」





眸に映った都世地歩さんは、きょとんとして。

それから何故か、蒼くなって。





「いびきかいてうるさかったのか」

「?ううん」


凄く可愛い寝顔だったけど!?


「仕事から帰ってきてたまに父親みたいに娘の部屋のドア開けて寝顔みたのばれた?」

「…………は?」


「…あれか。衵のAカッ「ちょおおおお何言っ」



「じゃあ、何?」




困った。




そんな表情見せるなんて、全くの予想外だ。