理想の都世知歩さんは、





結局その日は、二雲の家にお邪魔することにした。


とてもじゃないけれど、こんな腫れた目、都世地歩さんに見せられない。



それに、顔を見てしまったら決心が揺らいでしまいそうだったから。



二雲が居てくれて本当に心強かった。




何となく気まずくも、翌日の金曜日は仕事が朝からで、多分連絡した彼もそうだった。


兄の話では、引っ越しは来月の六月にでもということだったから、荷造りもすぐ始めないと。

この前実家で荷造りしたばかりなのになぁ。
仕方ないか。



そのまま二雲の家から仕事に行って、夕方頃帰路についた。


少し腫れの残った目、左谷さんにも三谷さんにも心配掛けてしまったようで申し訳なかった。


土日ヒーローショーの彼は以前、金曜日にリハがあると言っていた気がする。

今日もリハーサルだったら、きっと帰宅もいつもより早い。


私は家に着く前、何度も鏡や窓に映る自分を見たり指先を瞼に当てたりして、目がもう腫れていないか確認した。




だいじょうぶ。




家に着くと、まだ都世地歩さんは帰って来ていないようだった。


暫く夕焼けが差し込む、誰もいないダイニングで待っていたけれどうっかりすると感傷に浸りそうだから外に出る。


どこかで夏彦殿が鳴いていて、私は一階の駐車場に降りて廊下の端にしゃがみ込んだ。