何でそういうことをしたのかなんて、譴責出来るわけがなかった。
眉を顰める。
好きなひとがいる。
それだけで、こんなにも色の無い罪悪感のようなものに捉われるのか。
真も偽も知っている自分にさえ嘘を吐いたような気持ちになる。
私は、ぐっと喉元に留まったままの声を身体の中へ押し込み、浮かびそうな何かを堪えて顔を上げた。
「和平、「――――…っ」
りっちゃんが何か言い掛けたその時、殆ど同時に二階の玄関から音がして、後ろから階段を駆け降りる足音が聞こえた。
振り返った私の目の前に見覚えのある女の人の影が通り過ぎる。
「菜々美さん…?」
下がった眉の下の睛が、私を映す前にぐらりと揺れて見え、思わず息を呑んだ。
