「和平、」
小さく、
強く。
名前を呼ばれて。
見上げたくちびる。
払われたまえがみ。
額に、落ちる音。
「――――」
目を見開く私が顔を逸らすと、夜に落ちた影が重なった残像を残した。
「え……な…」
「『何で?』」
どうしてか。
どうしてか、だ。また。
切なそうに目を細めるりっちゃんは、悔悟の見えない眸をして言葉を落とした。
和平が自分のことで悩まないように、と。
優しく切ない、りっちゃんと会う時の雨音に似た言葉を落とした。
雨は降っていない現実。
理想も夢も、持っているだけで追っているだけでどうにも出来ない現実。
歯痒い、悔しい。
綺麗な言葉ばかり認められる此処が、何よりも。
好きが許されない自分が、何よりも。
何よりも本当は、さみしい。
