理想の都世知歩さんは、





『そうだ。今日貴堂サン家で夕飯食ってくるから。…あ、ヤギさん呼んでいいよ』

『りっちゃんと?珍しいですね』


荒れ狂った頭で都世地歩さんの口から聞こえた二雲にちょっと嬉しくなる。

都世地歩さんはそれを知ったような表情で『貴堂サン、石食ってるとか言うから』と続けた。

真顔で何言ってるの。


とりあえず、半目でハイヨと頷く。


それが今朝の話。






都世地歩さんがりっちゃんのところに行くのが初めてということならば、私も家に二雲を呼んで夕ご飯は初めて。

何だか嬉しかった。楽しみだった。
一人暮らしっぽい。



二雲との待ち合わせはアパート裏から少し歩いたところにあるコンビニで、既に先に着いていた彼女と合流して家へ向かう。

何処かで既視感のある店員さんだったと呟く二雲。

それを聞きつつアパートに近付く頃には夜の空気に包まれていて、足元を見ると影は姿を消していた。


「もう梅雨終わったかな、最近雨多かったよね」

鼻を動かす二雲に「それ高校の時も言ってなかったっけ」と思わず笑う。


それに二雲の笑顔が加われば、共有する時間が思い出に変わった。


「あ!」
「なに!?」

「衵、私ジュース買うの忘れた」

「ああ…自販そこにあるから」

「あー、くそー。何の為にコンビニ行ったのか」


「――――、まって」