理想の都世知歩さんは、





何よりも先に、


泪が零れた。






「……っ」


二雲は、親友だから。


親友だからきっと、この人に会ったら、わかるんじゃないかなってどこかで。

思ってて。




≪衵……≫



二雲の声が、もう既に、『どうして引っ越そうと思わないの』と聞くのを止めている。



どうして。


どうしてだろう。




何で……。





『 何で、好きになっちゃうんだろうね 』





好きな人の、好きな人が、言っていた。


その時、花を抱きしめて雨の中走り出した私。

本当はその時、何を思っていたかなんて目に見えていたのに誤魔化した。



喉を引っ掻くこの言葉はたった二文字なのに。


わかることを、わかろうとしないで。


聞き分けの良い子を演じて、演じて、泪に理由をつくり続けて笑った。



…一緒にいたかった。




気付かない振りをして。





ただ、



本当に。




それだけでよかったから。





それだけで、他には何も望まなかったから。