兄の言っていたらしいばーちゃんとは、厳しい母方の祖母のことだ。
≪衵のおばあちゃんって、会ったことないけど厳しいんだよね?私受験の時もそういう話にならなかったっけ。衵家探してて≫
「う、ん、一人暮らししたいって言った時からずっと『男に転がり込まれる』って言って反対してて」
≪男…≫
「…」
絶対、バレてはいけない人。
バレたら、どうなるかわからない。
近くには住んでいないけれど、心配して言ってくれてたんだってことも分かるけど、お兄ちゃんがそれを言っていたってことが怖い。
近々来るって言ってたのかなとか考えてしまう。
「ちょっと…お兄ちゃんに色々聞いてみるね」
都世知歩さんのこと、話して。
予想以上に忘れていた、深刻な話に言葉が詰まってしまうと、間を置いて二雲がそっと切り出した。
≪やっぱり衵は、今の家に居たいんだよね…?≫
まるでずっと、言いたかったことのように。
≪…。衵、もし万が一、おばあちゃんが金銭面のことは心配しなくていいから、それでも引っ越しなさいって言ったら?今より、仕事場にも遠くならなかったら?≫
“どうするの”、って。
二雲は私に聞いた。
