理想の都世知歩さんは、





遅い夜ご飯の後、シャワーを浴びて自分の部屋に戻って初めて二雲から連絡が入っていたことに気付く。


着信通知が立て続けに二件の後、更にさっきもう一件。

私は一度時間を目にしてから迷った挙句、二雲に文字をうって聞いてみた。

すると、すぐに彼女からの着信音が響いて私は電話をとった。


「もしもし、」

≪衵!よかった、早めに言っておきたいことがあって≫


慌てた様子の二雲を不思議に思いつつ、相槌を打って話を促す。



≪衵最近、袿君に会った?≫



袿(うちぎ)とは私の兄の名前。


「お兄ちゃん?会ってないけど」

私はますますどうしたんだと思いつつ都世知歩さんの部屋とは反対側に置かれているデスクチェアに腰を下ろし、空いた方の左手で、肩に掛けたタオルを攫って髪を拭く。


≪そうなのか…≫


俯いたような二雲の返しに不安になった私は「何かあった?というか二雲会ったの?」と問うた。


≪うん…会ったは会ったんだけど≫

「え、なになにこわい!」

≪何か…袿君、気まずそうにしてて。何でだろって思ってたら、『もしかして衵、誰かと一緒に暮らしてる…?』って≫

「え!?」

≪私も衵言ってないんだろうなって思ってそう思ったけど、明らかに知ってる感じで言ってて…。どうしよって思ったら袿君が『わかってるだろうけど、ばーちゃんだけには気を付けてって言っておいてくれる?』って≫

「…!」



私は髪を拭く手と一緒に、息を止めた。