理想の都世知歩さんは、





目が合って、意外すぎるりっちゃんのその仕草に私は魚のように開けた口をぱくぱくさせた。言葉が躓く。


「そ、そんな…いえいえ、すみません」


魚のような口。

泳ぐ目。


泳いで泳いで、声を聴く。


「謝らなくていいよ」

「あ、ありがとう」


彼は、「俺がお礼言ってるのに。吃りすぎ」と表情を崩した。


崩された表情は、崩されているのだけど、どこか緊張感があるようで。

それが緊張感と言って合っているものなのかは判らないけれどそう映った。


「講義だったの?」

「ん。その後色々あったんだけどずっと衛のこと気になってたから、本当助かった――」


ありがと。


きっと三度目になったであろうその言葉は、外から聞こえてきた階段を下りる音に消えていった。


階段の足音って以外と聞こえることあるんだ、今度からなるべく気を付けよう、と思っている時りっちゃんが口を開く。

私は天井を向いたままそれを聞いた。


「和平、今22時前だけど」


「!?」


22時!?