おじゃまします、と言う私に衛くんは「またいったー」とケタケタ笑う。
でもすぐ咳き込んでいるから背中を摩って、既に敷いてあった布団に寝かせた。
一階のみ設置されている小さなベランダにはもう一式の布団が干されている。
いつも衛くんがいるときはりっちゃんと一緒に眠っているのかもしれないなって思ったら微笑ましかった。
「りっちゃん、いつかえってくるの?あこめ」
晴れた外に目をやっていた私に問うた衛くん。
笑って布団を被せて、すぐ帰ってくるだろうから待ってようねと撫でたら、照れくさそうに布団に顔を埋めて可愛かった。
「さくらんぼ、たべたかったら言ってね」
「うん、今はいい」
「そっか」
そっかを繰り返して、冷蔵庫お借りしても大丈夫かな?と聞く。
「いいけど、すぐ戻ってきて」という可愛い返事が返ってきて、私は一目散に冷蔵庫に入れて戻ってきた。
それを、ちょっと辛そうだけれど笑う衛くんを見ながら、私は可愛いとしか思っていなかった。
だって、可愛い。
りっちゃんもだし、都世知歩さんも、年下の弟とか妹いるの可愛いだろうな。
私は物腰柔らかーなお兄ちゃんしかいないからな。
隣でそんなことを考えている内に、衛くんがどうやら手を伸ばしてきたようで。
繋ぐ?と聞くと恥ずかしそうに顔を逸らしてしまった。
でも、少し経つ毎にこっそり瞼を持ち上げて、恐らく私がここにいるか確認している衛くんを放っておけず。
トイレすら我慢してみた私。
うとうとしかけ、出せる全ての力で瞼を持ち上げた時、目に入ってきたのは私の指に添う衛くんの小さな手。
何度も繰り返し、こっちを見ていた衛くんを思い出してそうだったのかって気が付く。
可愛くて仕方がないって、そう。
こういう気持ちのことだ。
もしりっちゃんにも嫌がられて怒られたら、土下座しよ。
